サッカー日本代表とバランスボール
サッカー日本代表が、グラウンドでバランスボールを使ったトレーニングをしているのをテレビで観た。それは、フィットネスクラブのスタジオでもよく見かける光景だ。ただし、私の通うそのスタジオには、恐らくトップアスリートはいないし、少し年齢層も高い。
コアトレーニングやバランスボールをトップアスリートが行うことに否定的な意見は、マーク・リップトー氏のこちらの記事がわかりやすい。
体幹トレーニングの落とし穴
さて、リップトー氏が指摘したコア・トレーニングについての問題点に加えて、ガイトレ的な疑問点を指摘してみようと思う。
前回の記事で、筋肉は行われた動作によって形成(交換)されるということを説明した。
コア・トレーニングはどうだろうか?そのほとんどは静止する動作だ。静止する動作で作られる筋肉は、静止するための筋肉だ。サッカー選手はコア(体幹)を静止させることが多いだろうか?
サッカー選手は試合中に、ダッシュし、急激に方向を変えてターンをし、急激にストップし、高くジャンプする。私の知る限り、恐らくサッカーには静止した動作はほとんどない。静止するよりも、体全体のパワーとしなりが必要だろう。集中してパワーを発揮したり、重力が急激に変化することに対応したりするような動的な筋肉が必要なはずだ。
そうそう、我が日本代表が行っていたコア・トレーニングはバランスボールだった。では、サッカー選手はグラグラするボールの上に乗ってバランスを取るためのバランス感覚が必要だろうか?
彼らは試合中にサッカーボールの上に乗ってバランスを取ることはあまりない。敵のゴールに向かう途中に平均台があるわけでもないし、グラウンドが突然スケートリンクになることもない。それほど極端にバランスを取る必要などないのだ。サッカーというスポーツをマスターするのに、大きなゴムボールの上に乗ってバランスを取る動作を習得する必要はないのである。
それから、世界大会に出場する選手達が、自重以下の負荷で筋肉を鍛えることに何か特別な効果があるだろうか?
リップトー氏の言うように、まったくの初心者であればコア・トレーニングには効果がある。筋肉の力が自重の負荷(自分の体重以下の重量)より低いからだ。だから初心者はコア・トレーニングしたことによって確かに効果を感じる。それは漸進性の原則と過負荷の原則という理論によって証明されている。
しかし、トップアスリートの中にも、自重トレに効果があると感じている人がいるだろう。日本代表の中にもいるかもしれない。それはコア・トレーニングをしたことによって、試合に勝った、良い成績を収めることができたという体験をしたからなのかもしれない。
だがそれは、本当にコア・トレーニングによる効果なのだろうか?
トップアスリートは、運動不足でフィットネスクラブに通う人々とは違って、もともと、自重の負荷を上回る筋力を持っている。だとしたら、そんな自重以下のトレーニングなどやってもやらなくても同じだったかもしれない。もちろん同じなので、やったことで何も悪い影響も出ない。
やってもやらなくても同じだったかもしれないということについて、リップトー氏も私も同じ意見だ。コア・トレーニングは世界で戦うトップアスリート達の限られた貴重な練習時間を無駄にしているのだ。
この数年、コア・トレーニングに関する書籍が数多く出版されている。多くの将来のある若者達は、私とリップトー氏が指摘する事実に気づいていない。もし、彼らが、そして彼らのコーチやトレーナー達が、自重の負荷のトレーニングで世界と戦えると思っているとしたら、今後行われるオリンピックなどの国際大会で日本人選手が活躍する機会が減るかもしれない。
このことは、これを読んでいるあなたが思っているほど小さな問題ではない。本屋に並んでいる自重の健康体操、リハビリ体操の本を書いた著者と出版社がもたらす影響は、そのくらい大きな問題になり得ることなのである。
※ただし、自重以上の筋力を必要としないスポーツなどの場合は自重のトレーニングで何ら問題はない。
コアトレーニングやバランスボールをトップアスリートが行うことに否定的な意見は、マーク・リップトー氏のこちらの記事がわかりやすい。
体幹トレーニングの落とし穴
さて、リップトー氏が指摘したコア・トレーニングについての問題点に加えて、ガイトレ的な疑問点を指摘してみようと思う。
前回の記事で、筋肉は行われた動作によって形成(交換)されるということを説明した。
コア・トレーニングはどうだろうか?そのほとんどは静止する動作だ。静止する動作で作られる筋肉は、静止するための筋肉だ。サッカー選手はコア(体幹)を静止させることが多いだろうか?
サッカー選手は試合中に、ダッシュし、急激に方向を変えてターンをし、急激にストップし、高くジャンプする。私の知る限り、恐らくサッカーには静止した動作はほとんどない。静止するよりも、体全体のパワーとしなりが必要だろう。集中してパワーを発揮したり、重力が急激に変化することに対応したりするような動的な筋肉が必要なはずだ。
そうそう、我が日本代表が行っていたコア・トレーニングはバランスボールだった。では、サッカー選手はグラグラするボールの上に乗ってバランスを取るためのバランス感覚が必要だろうか?
彼らは試合中にサッカーボールの上に乗ってバランスを取ることはあまりない。敵のゴールに向かう途中に平均台があるわけでもないし、グラウンドが突然スケートリンクになることもない。それほど極端にバランスを取る必要などないのだ。サッカーというスポーツをマスターするのに、大きなゴムボールの上に乗ってバランスを取る動作を習得する必要はないのである。
それから、世界大会に出場する選手達が、自重以下の負荷で筋肉を鍛えることに何か特別な効果があるだろうか?
リップトー氏の言うように、まったくの初心者であればコア・トレーニングには効果がある。筋肉の力が自重の負荷(自分の体重以下の重量)より低いからだ。だから初心者はコア・トレーニングしたことによって確かに効果を感じる。それは漸進性の原則と過負荷の原則という理論によって証明されている。
しかし、トップアスリートの中にも、自重トレに効果があると感じている人がいるだろう。日本代表の中にもいるかもしれない。それはコア・トレーニングをしたことによって、試合に勝った、良い成績を収めることができたという体験をしたからなのかもしれない。
だがそれは、本当にコア・トレーニングによる効果なのだろうか?
トップアスリートは、運動不足でフィットネスクラブに通う人々とは違って、もともと、自重の負荷を上回る筋力を持っている。だとしたら、そんな自重以下のトレーニングなどやってもやらなくても同じだったかもしれない。もちろん同じなので、やったことで何も悪い影響も出ない。
やってもやらなくても同じだったかもしれないということについて、リップトー氏も私も同じ意見だ。コア・トレーニングは世界で戦うトップアスリート達の限られた貴重な練習時間を無駄にしているのだ。
この数年、コア・トレーニングに関する書籍が数多く出版されている。多くの将来のある若者達は、私とリップトー氏が指摘する事実に気づいていない。もし、彼らが、そして彼らのコーチやトレーナー達が、自重の負荷のトレーニングで世界と戦えると思っているとしたら、今後行われるオリンピックなどの国際大会で日本人選手が活躍する機会が減るかもしれない。
このことは、これを読んでいるあなたが思っているほど小さな問題ではない。本屋に並んでいる自重の健康体操、リハビリ体操の本を書いた著者と出版社がもたらす影響は、そのくらい大きな問題になり得ることなのである。
※ただし、自重以上の筋力を必要としないスポーツなどの場合は自重のトレーニングで何ら問題はない。