打撃系格闘技におすすめの種目

少し前に、ツイッターでフォローしていただいていて、よくリツイートや返信をいただく戸田さんという方から、空手にはどのような種目が良いかという質問があった。彼はフルコンタクト空手をやっているということだ。

それからもう一人、私の本をニュースブログで宣伝してくれるMorohashiさんという方はキックボクシングをしている。彼はキックの上達について質問をしてくることはないが、現在、筋トレに力を入れているようである。

そこで、空手、キックボクシングなどの動きから効果が期待できる2種目を紹介する。

ただし、最初にお断りしておくが、私は筋トレの本を書いてはいるが、全てのスポーツや武道に精通しているわけではないので、それらを極めた人もしくは極めつつある人が、長い経験から知り得る紙一重の感覚については、当然、深くアドバイスすることはできないそれらスポーツに必要な動作から想定できる種目を紹介することになる。ご了承いただきたい。

今回は、先のお二人にツイッターでお世話になっているのと、以前、お約束していたので、特別に記事を書くことにした。
戸田さん、少し遅くなりまして、申し訳ありません。

では、まずは蹴りやキックの強化のために有効と思われるハイクリーンを紹介する。

ハイクリーンは拙著ガイトレの参考図書、窪田登氏「スポーツマンの体力づくり-ウェイト・トレーニング-」で、「バーベルを用いる場合には、必ず反復して練習をしておかなければならない基本運動の1つである」としている種目である。また、ガイトレのメニューでもデッドリフトの前にウォーミングアップとして採用している。

この種目は、僧帽筋、固有背筋(背中の深部の筋肉)、大腿四頭筋、下腿三頭筋、上腕二頭筋、前腕筋群を強化するとされていて、バーベルを一気にそして急速に床から引き上げることによって、これら筋肉を連携させる神経も同時に強化される。ここが重要である。個別に筋肉を鍛えようとするのではなく、連携して鍛えるのである。

重量は体重の60~70%くらい。1回目床から引き上げたバーベルは、2回目以降は床に戻さないで膝下くらいから再び持ち上げる速めのリズムで10回~12回を2,3セットがよい。腰や膝などの特定の関節に負荷がかかるのではなく、全ての関節を協調して上げなければいけない。全身で上げるというイメージである。ガイトレのメニューではデッドリフト前にウォームアップとして行うようにしているが、蹴りやキック強化目的ならば、筋トレ時に毎回、ウォームアップとして行ってもよい

背筋と脚の筋肉が連携して鍛えられることで、前蹴り、回し蹴りといった動作にパワーとスピードの強化が期待できる。続けるうちに、実際の蹴りの動作のキレが良くなり、重くなってきたと実感できると思う。また足首も強化されるので、特に回し蹴りでの軸足が安定することが感じられるはずである。もちろん、基本稽古やシャドーで、蹴りの動作は十分に行わなければならない

次は、ダンベルワンハンドローである。ベンチに片手をついて上体を倒し、ダンベルを引く種目である。ダンベルワンハンドローは、本来は広背筋をアイソレートして行うべきだが、この場合はそれを意識せずに、ハイクリーンと同様、主に上体の筋肉を連動させる。

ここで特に重要なのは、ベンチについた手(腕)がストレートパンチを打って腕を伸ばした状態であると意識しながら、ダンベルを持った手を、腕、背中全体を使って引き上げるようにすることである。ダンベルを引いたときの姿勢は、空手でいう半身の体勢になるようにするのである。

重量は10kgくらいから始めて、自分のやっている競技、スタイルの合わせて、実際に突きやパンチをしている姿勢が崩れない程度の重さで行う。ただあまり現実的な突きやパンチのフォームにこだわる必要はない基本はダンベルを持って行う筋トレの種目であるダンベルワンハンドローの姿勢で突きもしくはパンチに近い動きということで十分だ。スムーズにやれることが重要である。ぎこちない動作では意味がないからだ。

これは昔、某有名空手家がこれをやっていた筋トレの映像を観たことが印象に残っていたので紹介した。当時、それを観た私は、なぜ突きの強化のために、引きの強化が必要なのか?と不思議に感じたからである。長くなるので書かないが、空手をやられている方は、引きの重要性をご存じだと思う

これに爆発的に上げるベンチプレスを組み合わせるなどすれば、突きやパンチ力のアップが期待できるはずである。筋トレを行っている方は、ベンチプレスは大体メニューに取り入れているだろうから、ベンチプレスの後で行うようにするとか、工夫されてはどうだろうか。

ただし、しつこいようだが、基本稽古、シャドー、サンドバッグを用いるなどして、実際の動作練習を十分に行わなければならない。実際の動作は筋トレ時よりも、もっと多くの筋肉が連携する。それらをコントロールする神経の協調が狂わないようにしなければならない

今回は、打撃系格闘技で効果のある種目を紹介したが、他のスポーツや武道などでも、そのスポーツに近い動作や、自分の弱点である部分の強化となる種目を選択して、自分なりに工夫するための例として、参考にしていただけるのではないかと思う。

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筋トレ研究家 留金隆二

筋トレ研究家 留金隆二

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