身体の形(かたち)と空手の形(かた)

武井壮さんとタモリさんが「笑っていいとも」で対談した「スポーツが短期間で上達するコツ」を紹介する記事を読んだ。

この記事→スポーツが短期間で上達するコツ

武井さんに関して私は足の速いスポーツ万能のタレントというくらいの知識しかなかったが、Wikipediaで経歴を調べたら、十種競技の日本チャンピオンであり、様々なスポーツ経歴を持っていて大変驚いた。そしてこの記事は、非常に私の興味を引いた。

不調なとき、体がズレている時に、ズレたまま練習を行うと、ズレたまま上達するというのだ。ズレた状態で反復練習を何度も行ったことで、固まった(良くなった)だけで、本当は体はズレているという話。アスリートでも体がズレている人が多いというのだ。

それから、武井さんが十種類もの種目で競う十種競技の練習で行ったことは、それら各種目の実践練習にはあまり時間をかけずに、「自分の身体を思った形にする練習」と「フィジカルの強化」に時間をかけていたというのだ。

この記事を読んだ後に、なぜか私の頭に浮かんだのは空手の形であった。突然話が飛んで申し訳ない。前回の記事が空手だったからこじつけるわけではなく、突然ふと、これも少し前にYoutubeで観た女性空手家の演武の動画が思い出されたのだ。

この動画である。


「日本人の精神に敬意を」 女子世界一の空手演武に外国人心酔

これはフランスのパリで行われた第21回世界空手道選手権大会で優勝した宇佐美里香さんの演武である。完璧な空手の形は観ていて非常に美しい。その演武に感動した観客がスタンディングオベーションを始めて会場全体が感動の渦に包まれる。

空手は(基本的に)武器を持たずに素手で戦う武術である。この武術は戦闘で使うために、敵を倒すために、つまり相手を殺すために考え出され、長い歴史を経て完成されたものである。

そしてその空手の形は、様々な戦闘行為に起こりうる動作をシミュレーションしたもので、それを正確に反復することで、体にそれらの動作を正確に染み込ませようとするものだ。

だが近年、空手はフルコンタクトの組み手重視になり、形が軽視されているように思う。実践を重視する流派は、組み手の試合で結果を出すために、組み手重視の練習になってしまうのだろう。それに形の指導には時間がかかり、道場のスペースもかなりとられてしまうことも原因かもしれない。

だが、実戦空手にこそ、形の練習が必要かもしれない。何で読んだかは忘れた(例の漫画ではない)が、実戦空手を広めた極真会館創始者の大山倍達館長は、まだ一空手家であったとき、自ら形の練習に相当時間を割いていたという話を読んだことがある。

さてここで武井さんの話に戻るが、武井さんは「自分の身体を思った形にする練習」に時間を費やしたと言っていた。正確なフォームには、正確な体の動きが必要だというのだ。

空手の形は、体の向き、姿勢、手足の位置、角度、速度など、全てが完璧でなければならない。また動きは、前進、後退、45度、90度、180度、さらにはジャンプもある。それら全てを正確に体に記憶させなければ完成しないのである。

武井さんの理論通りなら、歴史ある空手の形は全てのスポーツの基礎練習にも使えそうだ。大きなゴムボールでバランスを取るバランスボールや雑な足踏みを繰り返すだけのラダートレーニングなんかより、ずっとマシだと思う。

でもそれはさすがに無理だろうから、できれば武井さんに、その自ら行っていた「自分の身体を思った形にする練習」の全容を公開していただけたらなあと思っている。

打撃系格闘技におすすめの種目

少し前に、ツイッターでフォローしていただいていて、よくリツイートや返信をいただく戸田さんという方から、空手にはどのような種目が良いかという質問があった。彼はフルコンタクト空手をやっているということだ。

それからもう一人、私の本をニュースブログで宣伝してくれるMorohashiさんという方はキックボクシングをしている。彼はキックの上達について質問をしてくることはないが、現在、筋トレに力を入れているようである。

そこで、空手、キックボクシングなどの動きから効果が期待できる2種目を紹介する。

ただし、最初にお断りしておくが、私は筋トレの本を書いてはいるが、全てのスポーツや武道に精通しているわけではないので、それらを極めた人もしくは極めつつある人が、長い経験から知り得る紙一重の感覚については、当然、深くアドバイスすることはできないそれらスポーツに必要な動作から想定できる種目を紹介することになる。ご了承いただきたい。

今回は、先のお二人にツイッターでお世話になっているのと、以前、お約束していたので、特別に記事を書くことにした。
戸田さん、少し遅くなりまして、申し訳ありません。

では、まずは蹴りやキックの強化のために有効と思われるハイクリーンを紹介する。

ハイクリーンは拙著ガイトレの参考図書、窪田登氏「スポーツマンの体力づくり-ウェイト・トレーニング-」で、「バーベルを用いる場合には、必ず反復して練習をしておかなければならない基本運動の1つである」としている種目である。また、ガイトレのメニューでもデッドリフトの前にウォーミングアップとして採用している。

この種目は、僧帽筋、固有背筋(背中の深部の筋肉)、大腿四頭筋、下腿三頭筋、上腕二頭筋、前腕筋群を強化するとされていて、バーベルを一気にそして急速に床から引き上げることによって、これら筋肉を連携させる神経も同時に強化される。ここが重要である。個別に筋肉を鍛えようとするのではなく、連携して鍛えるのである。

重量は体重の60~70%くらい。1回目床から引き上げたバーベルは、2回目以降は床に戻さないで膝下くらいから再び持ち上げる速めのリズムで10回~12回を2,3セットがよい。腰や膝などの特定の関節に負荷がかかるのではなく、全ての関節を協調して上げなければいけない。全身で上げるというイメージである。ガイトレのメニューではデッドリフト前にウォームアップとして行うようにしているが、蹴りやキック強化目的ならば、筋トレ時に毎回、ウォームアップとして行ってもよい

背筋と脚の筋肉が連携して鍛えられることで、前蹴り、回し蹴りといった動作にパワーとスピードの強化が期待できる。続けるうちに、実際の蹴りの動作のキレが良くなり、重くなってきたと実感できると思う。また足首も強化されるので、特に回し蹴りでの軸足が安定することが感じられるはずである。もちろん、基本稽古やシャドーで、蹴りの動作は十分に行わなければならない

次は、ダンベルワンハンドローである。ベンチに片手をついて上体を倒し、ダンベルを引く種目である。ダンベルワンハンドローは、本来は広背筋をアイソレートして行うべきだが、この場合はそれを意識せずに、ハイクリーンと同様、主に上体の筋肉を連動させる。

ここで特に重要なのは、ベンチについた手(腕)がストレートパンチを打って腕を伸ばした状態であると意識しながら、ダンベルを持った手を、腕、背中全体を使って引き上げるようにすることである。ダンベルを引いたときの姿勢は、空手でいう半身の体勢になるようにするのである。

重量は10kgくらいから始めて、自分のやっている競技、スタイルの合わせて、実際に突きやパンチをしている姿勢が崩れない程度の重さで行う。ただあまり現実的な突きやパンチのフォームにこだわる必要はない基本はダンベルを持って行う筋トレの種目であるダンベルワンハンドローの姿勢で突きもしくはパンチに近い動きということで十分だ。スムーズにやれることが重要である。ぎこちない動作では意味がないからだ。

これは昔、某有名空手家がこれをやっていた筋トレの映像を観たことが印象に残っていたので紹介した。当時、それを観た私は、なぜ突きの強化のために、引きの強化が必要なのか?と不思議に感じたからである。長くなるので書かないが、空手をやられている方は、引きの重要性をご存じだと思う

これに爆発的に上げるベンチプレスを組み合わせるなどすれば、突きやパンチ力のアップが期待できるはずである。筋トレを行っている方は、ベンチプレスは大体メニューに取り入れているだろうから、ベンチプレスの後で行うようにするとか、工夫されてはどうだろうか。

ただし、しつこいようだが、基本稽古、シャドー、サンドバッグを用いるなどして、実際の動作練習を十分に行わなければならない。実際の動作は筋トレ時よりも、もっと多くの筋肉が連携する。それらをコントロールする神経の協調が狂わないようにしなければならない

今回は、打撃系格闘技で効果のある種目を紹介したが、他のスポーツや武道などでも、そのスポーツに近い動作や、自分の弱点である部分の強化となる種目を選択して、自分なりに工夫するための例として、参考にしていただけるのではないかと思う。

日本代表を批判する人々への批判

昨夜、ツイートのタイムラインを眺めていて、有名な陸上競技者であった為末大氏が、ハフィントンポストという朝日新聞系のWEBサイトで、今回のワールドカップで敗退した日本代表への批判はおかしいという記事を掲載し、意見を求めていることを知った。

記事はこちら
サッカーの日本代表は責任を取るべきなのか

少し遅くなったが、これにコメントしてみた。ハフィントンポストは審査があるようなので、採用されるかどうかはわからない。

以下がそのコメントである。

プロスポーツ選手がマスコミや一般人に批判されることを、企業の業績や政治家の政策などと比較したり、お金と絡めたりして(もちろんそういう面白い批判もあるでしょうが)、なぜ為末さんがそんな例を持ち出して、ここでこのようにこの問題を大きく取り上げるのかが、まず私には理解不能です。

想像してください。あなたは定食屋にいます。そこにはテレビがありプロ野球の試合が流れている。そしてあなたの隣の席では、熱心なプロ野球ファン二人がその試合を観ながら激論を交わしている。その熱いプロ野球ファンはほとんど野球経験のないオジサンである。だが、このオジサンはそのチームを応援して数十年だ。そして毎試合、二人はその試合を楽しみにしている。

「相手ピッチャーはいいところに投げるよなあ。さっきの外角からあそこに投げられたら、●●も打てないな」

二人のテーブルに広げられたスポーツ紙には●●の不振を批判する記事が大きく掲載されている。オジサンは三振した●●を観て、そのテーブルをバンバンと叩いた。

「●●はもういらんな。あの野郎、優勝できなかったら、どう責任取るんだよ」

その二人にあなたは、「●●はあなたがたに何か迷惑をかけていますか?●●が責任取る必要がありますか?」などと言うのでしょうか?

そんなことは、野球であれ、サッカーであれ、人気のあるスポーツでは、定食屋で、家で、学校で、会社で、どこでも日常行われていることなのです。そしてそれは本当に熱心に自分のひいきのチームを応援して盛り上げている本物のファンの大切な日常でもあるのです。そしてそういう高い関心を持つファンがいることで、プロスポーツは人気が出て成り立っているわけです。

あなたがやっていることは、そういう真剣に応援している人々(どんな立場の人であっても)の日常を批判しているのです。私のツイッターのタイムラインでもそういう人を何人か見かけました。個人の意見なら良い人ぶってと見過ごしましょう。しかしあなたは有名人で、しかもこのような大きなサイトで問題提起している。

プロスポーツとプロスポーツのファンとマスコミのありふれた日常をなぜそんなに大きな問題として取り上げるのか?なぜそんな難しい問題にしてしまうのか?なぜそんなことをわざわざ記事にして、熱いファンの気持ちを盛り下げるのか?

そういう盛り下げる行為こそがプロスポーツ界にとって大きな損害です。


コメントは以上だ。

為末氏は次の記事で、プロスポーツは批判が許されるのか、アマチュア競技が批判されてもいいのか、という問題をさらに提起しているが、私は逆に、自身有名なスポーツマンであった彼が、それら問題を執拗に取り上げる理由が知りたい。

私は難しいことを言うつもりはない。今まで通り、普通にスポーツ観戦を楽しみたい。ただそれだけである。

【動画】スクワット

自重スクワットとバーベルスクワット、各15分以上の動画を2本紹介する。少し長いが2本ともしっかりと観ておく価値のある動画である。

一般的なスクワットの基本的なフォームの解説だけでなく、個々の体型や柔軟性の違いによるフォームの違いと、その違いにより負荷のかかる筋肉の場所についても詳しく説明がある。

そういった個人個人の体型などの違いによるフォームまで解説できるのは、加藤さんの本業がパーソナルトレーナーであるからだろう。彼は、これまで多くの顧客に指導して積み重ねた経験を持っているのである。

スクワットはしゃがんで立つだけの動作ではあるが、動画を観ると意外と複雑な動きであることがわかる。ある程度、経験のある人でも、この動画を観て、正しいスクワットのフォームを再確認するとよいだろう。



それらの動作についてマスターしたら、実際にバーベルを担いで行う動作の説明である。



バーベルを担ぐ位置、バーに添える手の位置などについて細かく説明があり、わかりやすい。それから、この動画では、腰や尻が強い人と足が強い人といった、それぞれのフォームの違いも実演して説明がある。

ボディビルダーとしての豊富な知識と、パーソナルトレーナーとして指導した経験を、惜しみなく披露して教えてくれる、加藤さんには本当に感謝である。


加藤さんのその他の動画はこちらでご覧になれます。
https://www.youtube.com/user/katochan33

(後日、追記、編集の予定あり)

【動画】デッドリフト

デッドリフトのフォームは馴れないと非常に難しい。高重量を扱うため、間違ったフォームで行うと怪我をすることもあるので、しっかり動作を覚えることが重要である。ここで紹介する動画は主に広背筋をターゲットにしたフォームであるが、これを基本として、まず覚えるのがいいだろう。



加藤さんは、動画中で3つの注意点を挙げている。肩を上げない、背中を伸ばす、腕で上げずに背中で上げるである。

他にも、デッドリフトの動画があるので、これをマスターしたら観ておくとよい。

デッドリフトの効果とバリエーション
http://youtu.be/yS2Q-vX1X5U

デッドリフトのフォーム 重量180kg
http://youtu.be/dSxO_hq8HLg


加藤さんのその他の動画はこちらでご覧になれます。
https://www.youtube.com/user/katochan33

(後日、追記、編集の予定あり)

【動画】ラットプルダウン

高重量を扱っているので、若干のチーティングがあるが、これが現実的なフォームである。

もし、加藤さんが20キロや30キロで行うなら、チーティングを全く使わない完全なストリクトなフォームでやれるだろう。だがそれでは高重量を扱っているときのフォームがわからない。そういう小細工をせずに普段のトレーニングを見せてくれるところが、加藤さんの動画の素晴らしいところだ。



注目すべき部分は、意識すべき筋肉の位置(動画の途中で斜線で示される)、体を倒す角度、バーをグッと引き、スーッと戻すスピードとタイミングである。バーの握り方はサムレスグリップがよい。

加藤さんのその他の動画はこちらでご覧になれます。
https://www.youtube.com/user/katochan33

(後日、追記、編集の予定あり)

【動画】ベンチプレス

「ガイスタッフ・トレーニング入門」のフォームの説明で、ユーチューブにある動画を参考にするとよいと書いたので、私自身、ブログで紹介できそうな動画を探していたのだが、ガイトレにふさわしい素晴らしい動画を発見し、掲載の了承をいただいたので、まずベンチプレスから紹介する。

この動画はボディビル歴18年の加藤昌平さん自らがモデルになり撮影したものだ。ボディビルダーなので当然、各筋肉が発達しており、脂肪も薄く、筋肉の動きをしっかり確認することができる。加藤さんの解説も現実的で大変わかりやすい。

そして何より、加藤さんの動画を私が絶賛する理由は、それは彼が実際に本気でトレーニングしている場面を収録して公開していることである。他の多くの動画は、デモンストレーションとして作られた映像が多く、全ての回数で完璧なきれいなフォームでやっているものばかりだ。しかし、彼の動画は、重量が上がっていく度に、回数を重ねるごとに、ウェイトを上げる速度が段々落ちていくし、高重量の最後のほうには若干のチーティングが入るのである。ここで紹介するベンチプレスの動画では、何とつぶれる場面まであるのだ。彼は、ボディビルダーである彼自身が普段行っている本物のトレーニングをそのまま公開してくれているのである。



フォーム、バーベルの上げ下ろしのスピードを確認するとよい。

ちなみに彼のバーの握り方はサムレスグリップと言って、親指は握らずに人差し指に添える握り方だが、握っても握らなくても、どちらでも構わない。だが、どんな握り方にせよ、初心者の方はセーフティーバーを必ず設置して行ってください。

加藤さんのその他の動画はこちらでご覧になれます。
https://www.youtube.com/user/katochan33

(後日、追記、編集の予定あり)

モノタンパクとエストロゲン

モノタンパクとは、私がツイッターでフォローしているソルさんが実践している、「モノタンパク=1食につき1種類の蛋白質を摂取する」という食事制限によるダイエット法である。ソルさんの食事内容は、彼女のブログ「天真爛漫なカレイドスター MEC+モノタンパク(1食1蛋白質)実践記録」で公開されている、主にゆで卵と肉類の摂取を中心としたダイエット法だ。そして、彼女はその食事法によって10キロ以上の減量に成功し、現在も継続中である。

しかし、今回の記事はダイエットについてではない。ソルさんのツイートから、とても興味深い現象を報告いただいたので、ホルモンの精神的作用と、そのホルモンという物質の量について解説しようと思う。ホルモンは今後このガイトレで説明していく筋トレやダイエットにも深い関係がある物質だからである。

さて、事の発端は、私がソルさんに返信した下記のツイートである。

筋トレ研究家 留金隆二 @r_tomegane 6月14日
@sulahmecstar そういえば、なぜか豆腐は食べませんね?何か、理由があるのでしょうか?


彼女から返信があった。

ソル@モノタンパク(1食1蛋白) @sulahmecstar 6月14日
@r_tomegane そうなのですか!でも豆腐の話をしていたら大豆製品食べたくなってきました... (笑)
明日は食べてみようかな...


これに私がさらに返信をした。

筋トレ研究家 留金隆二 @r_tomegane 6月14日
@sulahmecstar 大豆イソフラボンは、女性ホルモンであるエストロゲンを活性化させるといわれています。はっきりとした科学的根拠があるわけではありませんが、女性は少し摂るのも、良いかもしれませんよ。


そしてこの後、少しやりとりがあり、彼女は大豆製品を食べることになるのだが、その後彼女から、その大変興味深いツイートが返ってきたのである。

ソル@モノタンパク(1食1蛋白) @sulahmecstar 6月18日
@r_tomegane 留金さんに言われた通り大豆製品を摂取してます。豆腐や納豆を摂り始めて、毎日快便です (笑) 心なしか精神的にも安定しています。素敵なアドバイスを有難うございます ^^


ソル@モノタンパク(1食1蛋白) @sulahmecstar 6月18日
@r_tomegane 感情の起伏が無くなり、穏やかになりました ^^
肉だけだと性格も比較的ガツガツするような気がします


ソル@モノタンパク(1食1蛋白) @sulahmecstar 6月18日
@r_tomegane 最近は肉卵以外に胡桃や大豆製品を摂取しています^^
肌トラブル改善と、思考がクリアで冴え渡るような感覚があります。体には合っているみたいなので、もう少し続けてみます。またご報告します!
アドバイスを有難うございます!


つまり、精神的な変化があったというである。感情の起伏がなくなって穏やかになり、思考が冴え渡るような感じだというのだ。別の言い方をすれば、男性的な激しい感情の高まりがなくなり、女性的な幅広い思考ができるようになったということなのだ。

その時、私の脳裏には拙著「ガイスタッフ・トレーニング入門」の参考図書である「テストステロン」で紹介されていた、オランダで女性から男性に性転換手術した人の手記にあった精神的変化の様子が思い出された。それは今回、ソルさんが大豆製品を食べて起こったこととは逆の現象だ。

要約すると、次のようなことである。

1992年のオランダで、女性が男性に性転換するために、男性ホルモンであるテストステロンを三ヶ月投与したところ、彼女は、言葉使いが前より幅広くなく、直接的で具体的で簡潔になり、行動もよく考えてから行動することが少なくなり、あまり考えずに早く行動するようになったというのだ。それ以外にも、目に見えるものが強烈で、全体像がわからなくなり、一時に一つのことしかできなくなったといい、前より気が効かなくなり、視野が狭くなったというのである。

これらはテストステロンがもたらす男性的性格の特徴である。

さて、ソルさんの心に起こった感情の変化は、果たして大豆製品の摂取によってエストロゲンの量が増加し、テストステロンが抑制されたことが原因だろうか?オランダの女性は性転換するため、かなりの量のテストステロンを投与されたとある。大豆製品を摂取しただけで、これほどの感情の変化が起きるのだろうか?

ソルさんの体内のエストロゲン量とテストステロン量の変化を、大豆製品摂取前と摂取後に測定したわけではないので、ホルモン量に変化があったかどうかはわからないが、彼女に感情の変化があったことは間違いない事実である。

ソルさんが感情の変化に敏感になのは、彼女はミュージカル女優でありバレエダンサーといった表現力の必要な舞台芸術家であることで、感情に対して一般人より敏感であること、さらに、マインドブロックバスターとうセラピーの資格をお持ちなので、客観的に自分の感情を理解して説明できるからかもしれない。

それから、彼女はモノタンパクというストイックなタンパク質中心の食生活を続けていたことで、毎日いろいろな食物を食べる私たちと違って、体内のホルモン量が一定量(テストステロン優位)になっていた可能性があることも考えられる。

しかし、豆腐や納豆を2,3日食べたくらいで、そんな気持ちの変化なんて起きるのか?という方もいるだろう。最後にホルモン量について説明しておこう。

体の中には様々なホルモンが存在するが、それらホルモンは非常に微量なのである。どのくらい微量かというと、血液1ミリリットルあたり、10億分の1グラムから1兆分の1グラム程度しかないのだ。数値ではわかりにくいのでイメージで説明すると、それは25メートルプールに1滴程度という、あまりにも少ない量なのである。そしてホルモンとは、それほど微量であっても十分に、私たちの体に作用することができる物質なのである。

そして近年、科学の発展、特に測定器の精度が上がったことにより、様々なホルモンが研究され、極々微量のホルモンの変化によって、私たちの心と感情がコントロールされていることがわかってきている。

ソルさんに起きた感情の変化も、あながち偶然だとは言えないかもしれないのだ。
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筋トレ研究家 留金隆二

筋トレ研究家 留金隆二

筋トレとダイエットを中心に、健康とスポーツに関する話題を留金独自の視点でお届けします。
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